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大和田磐戸神楽

 茨城県古河市大和田の鷲神社に伝わる磐戸神楽(岩戸神楽)。太々神楽あるいは代々神楽とも呼ばれる。五穀豊穣、家内安全を願って奉納される。 1989(平成元)年、茨城県指定民俗文化財。 かつては旧暦3月4日、その後4月4日、2016(平成28)年からは毎年4月第1日曜日に同神社の神楽殿で舞が奉納される、
 鷲神社は、江戸時代中期の慶長年中、天候不良による不作とそれにともない、子供たちの間で百日咳が流行り、 それを救うため、村内の有志が武蔵国鷲宮村(現在の埼玉県)の鷲宮神社から分霊を迎えたのが始まり。 社殿を建て祈願したところ、百日咳は治まり、翌年には豊作になったと伝わる。以降、咳の神、豊産の神として信仰されている。
 神楽は、鷲宮神社に伝わる神楽を受け継いだものとされ、1760(宝暦10)年、大和田村の名主が願主となり、神官を舞子として始まった。 神楽は近隣の神主らによって伝えられてきたが、昭和に入り存続が危ぶまれたことから、地元の農家の長男を継承者として続いてきた。 現在は大和田磐戸神楽保存会により受け継がれている。
 当ページの作成に当たり、茨城の文化財などを参考にした。
神事
神楽の前後に行われる神事

一座「奉幣の舞」

 ごへいのまい。国常立尊(くにのとこたちのみこと)による舞。四方固めの舞。
幣舞
幣舞

二座「五行の舞」

 ごぎょうのまい。天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、高皇産巣日神(たかみむすひのかみ)、神産巣日神(かみむすひのかみ)、 宇摩志阿斯訶備比古遲神(うましあしかびひこじのかみ)、天之常立神(あめのとこたちのかみ)の5柱の神が御幣を中心にして舞う。
五行の舞
五行の舞

三座「那岐那美の舞」

 なぎなみのまい。伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)が国土やさまざまな神々を産み出した舞。
伊弉諾尊伊弉冉尊
伊弉諾尊、伊弉冉尊の舞

四座「翁の舞」

 おきなのまい。思兼之神(おもいかねのみこと)は、天照大神が天の磐戸にこもられた、策をめぐらし、対策を計られた神の舞。
翁の舞
思兼之神の舞

五座「猿田の舞」

 さるたのまい。猿田彦神(さるたひこのかみ)は、導きの神。天孫瓊瓊杵命(ににぎのみこと)が三種の神器を奉じて降臨の際、猿田彦神が道案内した姿を舞う。
猿田彦舞
猿田彦の舞

六座「蟇目の舞」

 ひきめのまい。天稚彦命(あめのわかひこのかみ)は、弓の名人。蟇目という木製の鏑をつけた矢を持って舞い魔を払う。
蟇目の舞
天稚彦命による舞

七座「天狐白狐の舞」

 狐は稲作の神である稲荷の使い。女狐が田を耕し、その後男狐とともに仲睦まじく種をまく。
天狐舞
田を耕すしぐさの天狐の舞
白狐舞
種をまくしぐさの白狐の舞

八座「稲刈りの舞」

 いねかりのまい。保食之命(うけもちのみこと)は、狐が蒔いて育てた稲を刈り取る舞。
保食之命舞
保食之命の舞

九座「釣(蛭子)の舞」

 つりのまい。ひるこのまい。蛭子の舞は恵比須様と呼ばれる事代主神(ことしろぬしのかみ)が魚を釣りあげる舞。 餌を仕掛け、釣りをする。見物客から多くのおひねりが上がる。最後に鯛を釣り上げる。
事代主神舞
鯛を釣りあげた事代主神

十座「尉の舞」

 じょうのまい。天児屋根命(あめのこやねのみこと)、天太玉命(あめのふとだまのみこと)が、磐戸の前に榊や勾玉、八咫鏡などを捧げ持ち祝詞を奏上する舞。
尉舞
尉の舞

十一座「岩戸開きの舞」

 いわとびらきのまい。天鈿女命(あめのうずめのみこと)や磐戸の前で神がかりして舞、 天照大神が磐戸から顔をだしたところを天手力男命(あまのたちからおのみこと)が力強く磐戸を開く。
岩戸開き天鈿女命舞
鈿女命の舞
岩戸開き手力男命舞
天手力男命の舞

十二座「山神之舞」

 やまがみのまい。大山祗命(おおやまつみのみこと)による舞。三つ目の山の神で、天照大神の復帰の喜びを表す舞。 加えて豊かに実った五穀の収穫の収穫も喜び、それを皆に分け与える。お供えされている餅を舞ながらまく。 現在ではお菓子なども多数まかれる。
大山祗舞
大山祗命の舞
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