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坂野家住宅

 坂野家住宅は、江戸時代、この地方の惣名主的存在だった豪農・坂野家の屋敷。 主屋と表門(薬医門)が1968(昭和43)年に国重要文化財に指定されている。 1998(平成10)年、坂野家から当時の水海道市が建物と屋敷地を譲り受け2001(平成13)年4月から「水海道風土博物館」として開放している。
 坂野家は、元武士で約500年前この地に土着した。江戸時代中期、この地域で行われた飯沼の新田開発で当主の伊左衛門は幕府から事業の責任者である「頭取」の 一人に任じられ、米の生産拡大に尽力し成功させた。現在に残る屋敷の原型もこの頃造られたと考えられている。 1933(昭和8)年の記録では農業規模は米が小作米を合わせ1300俵、小麦600俵の収量があり7人の使用人を抱える豪農だった。
 主屋は18世紀初めごろの建築で、19世紀になって増築された。また主屋西側の書院は、もともと平屋建てだったが大正期に2階建に建て替えられた。 常総市指定文化財。幕末から明治期にかけて、文人当主のもとに多くの書家や画家が訪れ、 作品の創作の場にもなったという。表門の薬医門は、本来武家屋敷に設けられるもので、飯野家の格式の高さがうかがえるものとされる。 地元では「伊左衛門どん」「だいじん屋敷」などと呼ばれている。
 主屋の老朽化が著しいことから、2003(平成15)年1月から2005(平成17)年12月まで全てを解体し組直す保存修理工事を実施。 主屋の形式が最も整った19世紀中頃の姿に復元されている。
 現在は映画やドラマ撮影のロケ地として知られる。NHK大河ドラマ「篤姫」や「龍馬伝」はじめ多くの作品で使用されている。
 当ページ作成に当たり、公式パンフレットなどを参考にした。
坂野家住宅主屋
表門を入ってすぐ前庭ごしの坂野家住宅主屋

主屋

 主屋は総茅葺平屋建て、建築面積は395.8平方m(約120坪)で、「座敷部」「居室部」「土間部」からなる。

主屋外観
主屋西側 主屋南側
中庭から見た西側の主屋(左)、同じく中庭から見た南側の主屋(右)
小屋梁 屋根裏
小屋梁(左)、屋根裏のスペースがある小屋梁(右)
座敷部
 一の間、二の間、三の間からなる。いずれも幕府の役人など武家の要人が逗留するためにしつらえられた部屋。 二の間東側に要人など来客時に使う式台玄関、三の間東に通常使われる内玄関がある。 式台玄関は、表門の薬医門同様、本来武家の様式で、特別に許されたものという。 居室部に後から増築された部分と考えられる。
玄関 玄関内側から
玄関(左)、玄関内側から見る(右)
一の間 欄間
客間一の間、坂野家で最も格式の高い部屋(左)、一の間と二の間の間にある欄間(右)
二の間 廊下
客間二の間、一の間の隣にある(左)、玄関=左側=から一の間と二の間前(右)
居室部
 広間、茶の間、仏間、納戸の4部屋からなり、土間と合わせて通常家人が使用していた。坂野家住宅で最初に建てられた部分。 広間は14畳敷で板戸を使い東西に8畳と6畳に分けることができる。茶の間は14畳あり家人が通常使っていた部屋で、中央に囲炉裏がある。
広間
広間、奥が囲炉裏のある茶の間
囲炉裏
囲炉裏が設けられた茶の間、奥は土間
土間
 土間はかまどが設けられており炊事場として使われたほか、作業場としても利用された重要なスペースで、面積は54坪もある。 土間の南東側には馬屋が設けられており、当時の生活や農業において馬が貴重な存在であったことがわかる。 また、土間の居室に接する西側部分は当初からあったものだが、東側はのちに増築された部分という。
土間
土間
かまど 馬屋
土間にあるかまど(左)、土間の隅にある馬屋(右)

表門

 住宅の南面にある。武家の格式を持つ薬医門形式の表門。切妻造、茅葺。江戸時代後期。
表門 塀
表門(左)、表門から続く塀=東側(右)

書院

 坂野家住宅の離れとして造られ「月波楼(げっぱろう)の名がある。棟札から1920(大正9)年に建てられたことがわかっている。 寄棟造、桟瓦葺、2階建、桁行約13m、梁間約7m。延床面積は約180平方m(約55坪)。1階、2階ともに座敷が2部屋づつ設けられている。 床の間など客間としての体裁がよく整えられている。また、ガラス建具など大正期の新しい建築技術も取り入れられている。 多くの文人や画家との交流があったことから優れた創作活動の場にもなったと見られる。
書院 書院入口
中庭から見た書院(左)、主屋から書院への入口(右)
書院1階奥 書院1階手前
書院1階奥の座敷(左)、同じく1階手前の座敷(右)
書院2階座敷
書院2階手前の座敷、襖絵が特徴
書院2階奥 書院風呂
書院2階奥の座敷(左)、書院にある風呂、坂野家には3カ所に風呂がある(右)
書院中庭
書院の2階から見た中庭
書院2階南廊下 書院2階北廊下
書院2階の南側の廊下(左)、同じく北側の廊下(右)

蔵・中庭・裏庭

 坂野家の蔵や中庭、裏庭を紹介。
中門
中庭への入口となる主屋手前にある中門
裏庭 井戸
土間から出たところで見た裏庭(左)、裏庭にある井戸(右)
文庫蔵 氏神様
裏庭にある文庫蔵(左)、裏庭にある氏神様、かなりの規模で稲荷様が祀られている(右)

坂野家周囲

 坂野家住宅の周囲には、竹林はじめ庭園や大きな池などがある。
竹林
駐車場から表門へ向かう途中の左手にある竹林
庭 池
駐車場から表門に向かう途中右手にある庭(左)、同じく庭の隣にある池(右)
坂野家梅林
 坂野家住宅西側入口、駐車場の北側にある。
梅林
梅林
荘川桜
 荘川桜は、品種はアズマヒガンザクラで、岐阜県荘川村(現在の高山市荘川町)の御母衣(みぼろ)ダム湖岸にある樹齢約400年とされる2本の桜。 御母衣ダム建設によりダム湖に沈む運命にあった照連寺と光輪寺の2本の桜が、1960(昭和35)年、地元住民やダム工事関係者らの熱意により、 約600m上流の丘に移植した。例を見ない難しい移植とされたが見事に成功、奇跡の桜といわれ、現在でも毎年美しい花を咲かせている。 1992(平成4)年、、荘川の保育園の子供たちが飛ばした風船がおよそ500km離れた大生郷新田地区に飛来、拾った住人と 荘川の交流が始まり、その後、この奇跡の桜「荘川桜」の苗木がこの住民に贈られ、住民の厚意により2010(平成22)年11月、 坂野家住宅の西側にある駐車場の一角に植樹された。
梅林
荘川桜

ロケ地・ロケセット

 テレビドラマや映画のロケ地としてさまざまな作品に登場している。ロケセットがそのまま公開されている場合もある。
 フジテレビ系2023(令和5)年4月8日スタートの「グランマの憂鬱」ロケセット。 主人公の百目鬼家として使われている。
グランマ書斎
書院1階に設けられた書斎セット
グランマ応接セット グランマ食堂
同じく書院1階に設けられた応接セット(左)、同じく主屋茶の間に設けられた食堂セット(右)

水海道風土博物館坂野家住宅

 開館時間は、4月から10月が午前9時から午後6時=受付は午後5時まで、 11月から3月が午前9時から午後5時=受付は午後4時まで。
 入館料は一般300円、児童・生徒100円。 団体割引有、15人以上は一般200円、児童・生徒50円。
 休館日は月曜日(祝日の場合はその翌日)及び年末年始(12月29日〜1月3日)。

アクセス

 常総市大生郷町2037番地。坂野家住宅の地図
 公共交通機関は関東鉄道常総線「三妻駅」下車、タクシーで約5km、 ないし関東鉄道常総線「水海道駅」下車、タクシーで約9km。 自動車は首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「常総IC」から約10分。 常磐自動車道「谷和原IC」から約30分。
駐車場
 坂野家住宅西側に有。無料。大型も駐車可。坂野家住宅駐車場の地図
駐車場
坂野家住宅駐車場入口
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